冠婚葬祭マナー

慶びごと

出産祝い

婚家からの出産祝いは?

婚家の両親にとっては内孫となる赤ちゃんですから、出産祝いの金額もはずむのが一般的な傾向。現在では現金の場合、10万円前後を包むのが目安となっているようです。
もちろん、必要となる育児用品をお祝いとして贈ってもかまいませんが、この場合は赤ちゃんの両親とあらかじめ相談して、値段が張るものを受け持つようにしましょう。たとえば、ベビーベッドと寝具をセットで贈るとか、ベビーダンスとベビーカーを引き受けるなどです。予算はやはり10万円前後と考えればいいでしょう。ただし、婚家に同居している場合は、祝い金、祝いの品として5~10万円を目安とします。
また、お祝い金に添えて、赤ちゃんの健やかな成長を願う品々を贈るケースもあります。典型的なのが、デンデン太鼓、犬張子、御守り袋、扇子の4点セットとなったもの。いずれも伝統的な品ですが、赤ちゃんを災厄から守るという意味をこめた縁起物です。

 

実家からの出産祝いは?

実家からの出産祝いの基本的な原則は、婚家からの祝い金(品物)よりやや控え目にするということです。金額的に言えば。婚家からの祝い金の目安は前述したように10万円前後ですから、実家はそれ以内、5万円前後から10万円を超えない範囲でするのが適当です。

古式に則れば、実家からは祝い着一式を贈るとされています。
男の赤ちゃんの場合は、のしめ羽二重、女の赤ちゃんなら友禅縮緬のそれぞれ広袖がそれにあたります。
もちろん、現在では広袖を贈るという傾向は一般的ではなくなってきていると言って良いでしょう。
実用性の薄い正式な祝い着よりはむしろ、赤ちゃんが外出時に着るドレスなどのものの方が重宝かもしれません。
この場合、よそからのお祝い品とダブることも考えられますから、赤ちゃんの両親の希望を聞いて、それを贈るという形にした方が無駄がないようです。

 

近親者からの出産祝いは?

夫の兄弟姉妹、あるいは配偶者の肉親に出産の慶びがあった際の祝いについては、自分と相手との関係によって金額に違いが出てきます。たとえば、兄または姉夫婦への出産祝いと、弟または妹夫婦への祝いでは、金額に差をつけるのが一般的だとされています。それぞれのケースについてみていきましょう。
兄・姉夫婦への出産祝いは1~2万円が相場。弟・妹夫婦の場合は、人生の先輩というところを含んで、2~3万円を贈るのが普通です。いずれも、相手の希望を聞いて、この金額に相当する品物を贈ることが多いようです。
もちろん、相手が望めば、そのかぎりではありません。ただし、贈る側が未婚の場合は少しちがってきます。1万円程度を考えればいいでしょう。
尚、配偶者の兄弟姉妹への出産祝いについては、やや控えめにしてもかまわないとする考え方があります。しかし、結婚が個人対個人の問題であるとの考え方が一般的な現在では、夫と配偶者の兄弟姉妹に差をつけるのは、いかにも時代に合わないんではないでしょうか。同じようにするのが今風でしょう。

 

友人からの出産祝いは?

友人の出産に際しては、ざっくばらんに希望を聞くのが一番。気のおけない間柄というメリットをいかしましょう。金額的には5,000円前後が一般的のようですが、きわめて付き合いが密な友人グループなら、何人かが集まってベビーベッド、ベビーカーなどの“大物”を贈るのもアイディアです。このようなケースではとくに、現金よりは品物のほうが祝いの気持ちが伝わるということを忘れずにいたいものです。

 

出産祝いのお返しは?

赤ちゃんが生まれた家の出費としてもう一つ、出産祝いへのお返しがあります。さて、どのくらいのお返しをすべきなのでしょう。
目安とされているのは、いただいた祝い金や祝い品の額の3分の1。もっとも、祝い金、祝い品の額には、これまで書いてきたように、関係によってずいぶんと開きがあります。したがって、杓子定規にそれぞれの3分の1に当たる金額でお返しを選んでいたのでは、労力が大変。そこで、実際にはどなたへのお返しも予算2,000~3,000円程度の品物に統一することがほとんどのようです。もちろん、それで失礼に当たるというようなことはありません。
お返しの品としては、オーソドックスな赤飯、紅白餅や手頃な菓子など。郵送に日にちのかかる遠方の場合は、石けんやタオルなどでもいいでしょう。
もっとも、婚家、実家の両親や近親者に対しては、少し違った考え方をするのが普通です。というのも、両親たちからの出産祝いは相当高額になりますから、その3分の1を返すという“常識”はあてはまらないからです。出産はその家族全体の慶びだという面からすれば、とりたててお返しをする必要は必ずしもないというふうに考えてもいいのではないでしょうか。
離れている両親や近親者には、菓子折りに赤ちゃんの写真などを添えて贈れば十分。そのほうがずっと喜ばれるに違いありません。
尚、お返しを贈るのはお宮参りの前後。表書きは「内祝」とし、赤ちゃんの名前を記して贈ります。かつては、出産を知らせたところにはすべて、出産祝いをいただく、いただかないにかぎらず、内祝を贈るものとされていましたが、現在では出産祝いをいただいた方のみにお返しをするというかたちに変わってきています。こうした合理主義は時代性でしょうか。