社会貢献への取り組み

全互協の社会貢献基金制度

助成先団体結果報告

1.筑波大学附属大塚特別支援学校

テーマ

知的障害を有する方々への選挙投票におけるICT機器を活用した支援方法の検討

概 要

平成27年に公職選挙法等の一部を改正する法律が成立したことにより、満18歳を迎えた知的障害のある生徒も選挙権を得ることになった。学校や選挙管理委員会とで連携し、選挙学習の取り組みを行ってきたが、いまだ不十分な点が多い。そこで本実践では文京区選挙管理委員会をはじめとする外部団体と連携して、保護者参観型の選挙学習を実施する事とした。また本実践で得られた知見をもとに、知的障害のある方々が選挙における意思表明するにあたり必要だと思われる基礎的環境整備や合理的配慮に関しても検討することとした。

実施内容

知的障害特別支援学校における選挙学習の実践Ⅰ~選挙管理委員会と連携して~

1.参加者:
本校高等部全生徒23名
2.年齢:
15歳~18歳
3.指導形態:
生活(生活単元)、学部集会(特別活動)
4.指導期間:
平成28年2月~3月
5.指導目標1:
参加可能な自治的活動(生徒会と委員会活動、生徒会選挙)と将来の政治参加について意味や内容を知る。
 指導目標2:
選挙制度について学ぶ、選挙の投開票を体験する。
6.指導内容1:
公示から立候補までに必要な説明、立候補準備、選挙活動
 指導内容2:
選挙学習、立会演説会、投開票、結果発表、任命式
7.合理的配慮1:
①絵や写真を用いたスライドを用いて、学校内における自治的活動、生徒会選挙の意味、選挙に参加する手順などを説明した。
②選挙ポスターに公約を書き込み、有権者がいつでも確認できるようにした。
 合理的配慮2:
①実際の選挙での手順や、選挙に関する知識をクイズ形式のスライドで学習した(全てルビを振り、イラストを多く用いた)
②投票所で受けることの出来る支援について、実際に使われているコミュニケーションボードや投票用紙を見せながら説明した(本人、保護者)。
③記入式、記号式の投票用紙を用意した。
④選挙の支援に係る職員へ、知的障害のある方と関わる際の留意点や支援の実際(教材教具含む)について説明したり、実際の様子を見て頂いた。

※1は学校のみ、2は文京区選管と合同で行った内容。

結果と考察

(生徒の様子)
選挙管理委員会次長により、選挙権が引き下げられたことによって生じた権利や選挙の意味、世界の選挙権事情に関して、スライドを用いたクイズ形式の事前授業が行われた。生徒たちの積極的な姿勢から「やりがいがある」と評価を受けた。教師による事前授業、専門家による出前授業と、同じ内容を繰り返し学習したことの成果であると考えられた。実際の投票も緊張感を持ちつつ、全員が参加することができた。
その後、投票所で実際に使われている機器を用いた開票作業の見学、結果発表も興味部会様子で参加していた。

(保護者の感想)
投票する様子、支援員からの支援の実際などを目の当たりにすることで、「参加して良かった。」「よく分かった。」「安心できた。」等の意見が聞かれた。

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